こんばんは. 仮面の日曜数学者です.
アオイホノオを見ながら「青春時代って痛々しいよね」とやっています.
今回は下の記事の続き.
誰にも望まれていない感はありますが, 中途半端で終わらせるのはやっちゃいけないとじっちゃがいっていたので, 書こうと思います. そんなわけで, もう一つの大きな柱「線形代数」編のはじまりはじまり.
今回の基準は次の通り.
(1) 和書であること*1.
(2) 「入門書」であること. すなわち前提知識が高校数学程度のもの.
(3) ある程度の定評があるもの(つまり私が評判を聞いたことがあるか実際に読んだことのあるもの).
(4)齋藤 正彦の『線型代数入門』と同程度の内容であると推測されるもの.
例によって最後の(4)は某先生のおすすめですね.
と言いつつ, 自分が目を通したことのある線型代数の本は数冊しかなかったので, 前回よりもボリュームダウンして2冊しか上げられないことに気が付きました. ホントにこの企画に不適当な人間だなワシ......
しょうがないので, 番外をつけてごまかします.
はい. 一つ目はみんな大好き齋藤線型代数ですね. 大学に入って最初に買った教科書以外の線型代数の本だったりします. 実は最初にきちんと読もうとした本なのですが, 第3章あたりで挫折した記憶があります. ←だめじゃん.
この記事を書くにあたって, 久しぶりに引っ張り出してきましたが「今なら読めるぞ」ってやってます(ほんまかいな).
自分の手元の線型代数の本の中では解析系の話題がまとまって載っている(第7章)のが良いです.
2冊目は, 最近新版が出て話題になった佐武線型代数です. 自分が持っているのは旧版の方ですね.
某氏が「数学系のM1になりたい人が入院の前に読み切るべき本」と言っていたことを思い出します. こちらは最終的にテンソル代数に向かっていきます. 齋藤先生の本とはちょっと方向性が違うので, 単純な比較はできませんが, こっちの方が少しだけ読みやすかったイメージがあります. ところどころで「研究課題」という章があるのが面白いです(今まで以上に薄っぺらい感想).
[番外]長岡亮介『線型代数入門講義――現代数学の"技法"と"心"』東京図書
たぶんこの中で一番"簡単"な本. これだけ分厚いのにJordan標準形で終わるという圧倒的な「丁寧さ」がすごい. その分応用についてはすこし物足りなかった記憶がある. 明らかに(4)の基準は満たされていないので, 「番外」とした. これで数学の考え方に慣れて, その後に上の本に改めてアタックするというのもひとつの手ではないだろうか......
というか, 自分がそんな感じだった. ある意味, 今回紹介した中では一番日曜数学者向けの本かもしれませんな.
ところで, 行列式の定義ほとんどの本では置換を用いて定義しているのですが, 個人的には次の定義が好きです.
(i) detは多重線型性を持つ.
(ii) detは列, 行に対して交代性を持つ.
(iii) det(I)=1. ただしIは単位行列.
こちらの方が実際の計算を示唆してくれるので, カッコよくないですかそんなことないですかそうですか.
そんな感じで線型代数の回を終了したいと思います.
最後に昨今, 「線型代数詐欺」が横行しております. 講演内容として「線型代数」を謳っておきながら「関数解析」や「多様体」の話を始めるというものです. みなさまどうぞお気をつけなさいませ.
*1:洋書を含めたまとめはry