Sokratesさんの備忘録ないし雑記帳

思考の流し台. 駄文注意.

自然数の定義(2019/06/03更新)

自然数の定義を淡々と述べるものです. 過度な期待はしないでください.

1. 構造としての自然数の定義

1.1. ペアノの公理(オリジナルに近いもの)

  空でない集合 \( \mathbb{N} \) と単射写像 \( \mathop{s}: \mathbb{N} \to \mathbb{N}\) , ある \( 0 \in \mathbb{N} \) が次のI), II)を満たすとき \( \left(\mathbb{N}, \mathop{s}, 0 \right) \) を自然数と言う:

I) \( \mathop{s}\left( x \right) = 0 \) となるような \( x \in \mathbb{N} \) は存在しない;

II) \( \mathbb{N} \) の元 \(n\) についての(正しいとは限らない)性質 \( P\left( n \right) \) が次のi), ii)の性質を満たすとき, すべての \( \mathbb{N} \) の元 \(n\) について \( P\left( n \right) \) は成り立つ:

i) \( P \left( 0 \right)\) が成立する; 

ii) \( P \left( n \right) \) が成立すると仮定したとき, \( P \left( \mathop{s}\left( n \right) \right) \) が成立することが示せる. 

1.2.ペアノの公理(集合的にかつ構造らしく)

  空でない集合 \( \mathbb{N} \) と単射写像 \( \mathop{s}: \mathbb{N} \to \mathbb{N}\) ,  \( 0 \in \mathbb{N} \) が次のI), II)を満たすとき \( \left(\mathbb{N}, \mathop{s}, 0 \right) \) を自然数と言う:

I) \(  0 \not \in \mathop{s} \left(\mathbb{N}\right) \);

II)  \( X \subset \mathbb{N} \)について, \( 0 \in X \)かつ\( \mathop{s} \left(X\right) \subset X \)ならば, \( X = \mathbb{N}\).

1.3.ペアノの公理(2階述語言語を用いて)

 \( \mathcal{L}_2 =\left( 0, s, = \right) \)という2階述語言語に対して以下のような論理式の集合\( T \)を考える.  \[ \forall x \forall y \left( sx = sy \to x = y \right) \] \[ \forall x  \lnot \left( sx = 0 \right) \] \[ \forall X   \left( 0 \in X \land \forall n \left(  n \in X \to sn  \in X \right)  \to \forall n \left( n \in X \right) \right) \]

\( T \)のモデルを自然数という. 

 

2. 1の自然数の定義を満たす具体的な自然数

 当たり前ですが, ここから下で定義されるものは1の定義を満たしています. 

1.1.  文字列

 \( 0, s \)を文字とする. 

I) 文字列"\(0\)"は自然数である. 

II) 文字列"\(\mathbf{n}\)"が自然数であるとき, 文字列"\(s\mathbf{n}\)"は自然数である. 

III) I), II)のようにして構成される文字列のみが自然数である. 

1.2. 空集合からの構成 

I) 空集合\(\emptyset\)は自然数である. 

II) 集合\(n\)が自然数であるとき, 集合\(n \cup \left\{ n \right\}\)は自然数である.

III) I), II) のように構成される集合のみが自然数である. 

1.3. 順序数として

 最小の極限順序数を自然数という.  

 

参考文献

[1]H.D.エビングハウス他, 『数』, 丸善出版

数 上 (シュプリンガー数学リーディングス)

数 上 (シュプリンガー数学リーディングス)

 

 [2] 田中一之他, 『ゲーデルと20世紀の論理学3』, 東京大学出版会

ゲーデルと20世紀の論理学 3 不完全性定理と算術の体系

ゲーデルと20世紀の論理学 3 不完全性定理と算術の体系