この記事は
Math Advent Calendar 2018 - Adventar
の12/19付の分の記事です(え?10日も遅れてる?......スタンド攻撃を受けているようだな).
ビュフォンの針という問題をご存じだろうか?
ビュフォンの針
平面上に平行線が等間隔に多数書かれている. その間隔を \( l \) とする.
その平面上に長さ \( r \) の細い針を落とす.
その針が平行線と交わる確率を求めよ(ただし, \( r \leq l \) としてよい).
この問題*1の答えは
ビュフォンの針の答え
\[ \frac{2r}{l\pi} \]
である(詳細は省略. 時間があれば証明をそのうちアップするかもしれない. ).
さて, この答えをよく見ると円周率\( \pi \)が含まれている. そのため, 次のようなことが思いつく.
針を\(n\)回投げた時に交わった針の本数を\(m\)本とすれば, 大数の法則より
\[ \frac{2nr}{ml} \to \pi \qquad \text{as} \qquad n \to \infty \]
が成り立つ.
これを利用して円周率の近似値を求めることはできないか?
そんなわけで実際にやってみた.
次のような条件の下で協力者Tと共に実験を行った.
- 針を投げるのは危ないので, 投げるのは形状の似ている「つまようじ」にする.
- 「平行線」は縞模様で表現することにした(線の太さを\(0\)に近づけて交わっているか交わっていないかの判断を簡単にするため).
- つまようじの長さと縞模様の間隔は同じにする(\(r=l\)を仮定する).
- 一気に複数本を箱に入れて投げる(手間を減らすため).
のべ400本投げた実験結果は次のようになった.
絶対誤差は-0.029.
相対誤差は0.009.
時間の関係で今回はのべ400本しか投げることができなかったが, のべ400本の時点でかなり良い近似を得ることができたので, 回数を増やしていけばもっと良い近似値を得ることができるはずである. 機会があればまた挑戦をしたい.
参考文献および実験器具たち
*1:最後の\( r \leq l \)という条件は簡単のためつけてある. \( l < r \)のとき, 針の長さが平行線の間隔より大きくなるため, 交わる確率が大きくなるからであるからである.